ベトナム大卒者、就職活動で困難を極める

毎月ベトナムで就職希望の大卒者とのインタビューを重ねているが、最近大学院生も増加傾向にある。

 

特に弊社の場合、お客様である採用希望企業の要望は、能力的に非常に高いものが多い。そのため履歴書や職務経歴書だけでは、判断できないことが多く、直接インタビューを行い、候補者本人の応募動機や、個性、キャラクター、時には本人の持つネットワークや過去の活動等もインタビューをしている。

 

最近の傾向としては、日本企業のベトナム進出の増加、また日本経済の底入れ感から、日本企業への就職を希望する人材が増加しているように思うが、人材的なクオリティーについては、比例していないようにも感じることが多い。

 

特にコミュニケーション力に難があるケースが多いように思う。

 

ここでいうコミュニケーション力とは、日本語等の外国語を話す力ではなく、相手に対しての「伝え方」が下手な候補者が多いという点。

 

履歴書や経歴書の記述内容は目を見張る内容でも、インタビューしてみると基礎能力である「コミュニケーション力」が低い候補者が結構いるということ。

 

大学院で対象となる分野の修士学位を取っていても、採用対象にならないケースも多分にある。就職氷河期と言われた時期の日本の傾向にも似ているように思う。

 

一方、有名大学でもなく、入学試験の難易度も相対的に高くない大学出身の候補者の中には、比較的可能性を秘めている人材も少なくない。インタビューをしてみると、受け答えも論理的で、私に分かりやすく伝え、私としても一緒に働くイメージが持てる候補者や、5年後、10年後等のキャリアステップをしっかりと考えている候補者にも遭遇する。

 

この候補者達は、ベトナム国内では学歴で書類審査で落ちる事も多いようで、いわゆる「原石」としては非常にポテンシャルを感じる人材として弊社では一般的な評価よりも上げるようにしている。

 

上記写真にある11月12日発行のベトナムの英字新聞「Vietnam News」でも、同様に高学歴だからといって就職ができていない2人のケースを紹介していた。

 

心理学修士取得の女性は、1000USDをかけて修士学位を取得したが、まだ就職先が決まっていない、また会計学修士を取得したものの、現在はスーパーマーケットのキャッシャーとして勤務している。本紙内では「修士学位はもはやゴールドチケットではない」と付け加えている。まさにそのとおり。

 

ベトナムの完全失業率は、景気後退の影響もあり、2.5%から2.8%に上昇しているというものの、まだ日本の失業率から考えると低い。

 

これは想像するに、雇用ミスマッチが日本以上に存在していることの現れかとも捉えられる。

 

私としては、この書類審査で落ちる傾向の高い「原石」が日本企業の成長に一役買ってくれることを期待しているし、日本企業にもこの原石を活用する意思を持ってもらいたいと常々感じている。特に若年労働者人口の減少に対する一助になれれば、お互い良い傾向に繋がることを期待している。